読書の記録

小学生の頃は本を読むのが好きだった。とーちゃんが買ってくれる世界文学全集が楽しみ。今から思えば厚さが10センチ以上もある本だけど、寝床に持ち込み、豆球で読んでいた。(夜更かしすると怒られるので、部屋の蛍光灯を消しいたのだ。)。

小学校3年からは50分くらいになった通学時間で本を読むことを覚え、学校の図書館で2日に1冊は本を借りていた。これは中学も同じ。高校で通学時間は長くなったが、電車の中は「睡眠時間」か、一夜漬けならぬ「当日『朝』漬け」の勉強時間になった。大学での読書はもっぱら授業の教科書か芝居の台本。就職してからは電車の中は「睡眠」か「夕刊紙」「週刊誌」の時間となった。

自転車通勤時代もあり、しばらく読書から遠ざかっていたのだが、ここに来て、読書量が戻ってきた。文庫本の小説中心ではあるが、せっかくなので、記録を残すことにした。




月島慕情 (浅田次郎)

浅田次郎の短編集。オトコとオンナのちょっと切ない物語のほか、家族のお話やら、戦争のお話やら。 どれもすごい。小説を読んでいて通勤電車の中で涙を流しちゃったのって、初めてかも。読み終わるのが勿体ないくらい。絶対お奨めです。
2011年01月29日

理由 (宮部みゆき)

高級高層マンションで起きた不可解な殺人事件。加害者もさることながら、被害者は誰なのか? 数々の目撃証言を丹念にレポートする形でお話は進む。が、登場人物が多すぎて、通勤電車で細切れに(3週間近くかけて)読んでいると、何が何だか判らなくなってくる。それでも、文庫本で676ページを読み終えることができたのは、やはりお話が面白いからだろう。さすがは直木賞受賞作
もう一度、一気に読んでみたい。んでもって、映画も観てみたい。
2011年01月21日

地下鉄に乗って (浅田次郎)

舞台が、普段生活でりようしている東京メトロの駅なので、なおのこと興味をもって読み進めることができる。
一見何の関わりもないような異次元のエピソードがつながった瞬間、何とも言えない切ない気分にさせられる。
2011年01月13日

2010年  17冊

客室乗務員は見た! (伊集院憲弘)

タイトルのとおり、JALのパーサーを長年ヤッタ男性が、自らの体験や同僚からの伝聞を記したもの。特に目新しい内容もないが、ひとりだけ「うちのお父ちゃんなぁ・・・・」と甲高い声を出す大阪の小母ちゃんの話は、本人が特定されるだけに「ここまで書いちゃっていいんかい?」って感じでしたね。(まあ、秘密でも何でもないことなのだろうけど。)
自分もここのところ飛行機に乗る機会が多いので、CAさん達には迷惑をかけないようにしなきゃな・・・と思いますな。
2010年12月19日

見知らぬ妻へ (浅田次郎)

「鉄道員(ぽっぽや)」の原作者だとは知っていたけど、読むのは初めて。歌舞伎町の客引きと、中国から売られてきた女性のつかの間の『夫婦生活』を描いた表題作歩か7編の短編集。
ちょっぴり切なくなるお話。100%幸せではないんだけど、最後に鼻の奥が「ツン」となる、そんな話が多かった。長篇なら重苦しくてイヤになっちゃうかもしれないけど、丁度良い短かさ。
2010年12月19日

最悪 (奥田英朗)

パチンコで生計を立てているニート青年、細々と頑張ってる町工場の社長、普通の銀行員の女性。ごくごく普通の3人の男女。
それぞれの平和な日々の歯車がちょっとしたことから狂ってくる。ヤクザの子分との出逢い、近隣住民とのいざこざ、支店長からのセクハラ・・・。本人には悪気はないのに、周りがどんどん悪い方に転がっていく。悪いことが悪いことを産み、タイトル通り「最悪」の事態に。
最後の最後に、きっと救われるに違いない・・・と読み進んだのだけど、後味の悪さと「あれ? あれは何の展開もないの??」という回収されない伏線があり、奥田英朗作品、初めてお奨めしない本でした。書名通り・・、かな。
2010年12月04日

サウスバウンド (奥田英朗)

以上ですなぁ。通勤電車や休日のお散歩、そして飲み屋さんでも・・・。500ページ超の小説なのに、あっという間。
とにかくテンポがいい。主人公は小学校6年生のオトコのこ。彼の語り口が巧妙。どんどん読み進める。小学生らしい恋もあるしねぇ。
こんなオヤジいないよな、と想いながら、映画では豊悦だったよな、おかあさんは天海祐希かぁ・・・と映像を浮かべながら読む。
第1部は中のブロードウェイ辺りが主な舞台、とってもガラ悪く描かれてて文句はでないのかな。逆に四谷三丁目は上品な山の手風。
第2部は一転して、石垣島、西表島へ。とにかく八重山の人たちが優しいのだ。今、沖縄の仕事をしてるけど、「なるほど、なるほど」ですわ。

ただ、最後に、主人公達が移り住んだ西表の家を、デベロッパー会社の手先が「自分たちが正当な権利者だ」と重機で壊していく場面で、官に対していつも理論で刃向かうお父さん(や、そもそも警官達)が「自力救済は認められていない」という台詞を吐かないのが、とってももどかしい。「作り話にしても、あまりにも乱暴な。」とガッカリしてしまった。それまでのストーリーの方がずっと荒唐無稽で、そもそも国や法律を否定してるお父さんがそんなこと言うわけないのに、何故か、そんな感想。それさえ気にしなければ、もの凄いジェットコースター小説
2010年11月06日

ガール (奥田英朗)

またまた、奥田作品。5篇とも主人公は働く女性。しかもバリキャリ風。
・35歳 大手不動産会社 営業第三課課長 既婚
・34歳 大手生保会社 広報課 独身
・32歳 広告代理店 企画部門 独身
・36歳 自動車メーカー 営業部 シングルマザー
・35歳 老舗文具メーカー 営業三課 独身
男社会で闘ったり、泳いだり、揉まれたり。なるほど、30代半ばの女性ってこんなこと考えてるんだ・・・と思っても所詮お話の中。5人とも全然違うポリシーだし。それぞれ楽しめるんだけど、最後が、何となくオトコに都合がいいオワリ方に思えるのは気のせいか。
メッセージは「好きに生きなさい。」。同世代の迷える女性にはお勧めかも。
2010年11月05日

町長選挙 (奥田英朗)

奥田英朗にハマってます。伊良部センセイ第3弾。今回は、オーナー、アンポンマン、カリスマ稼業、町長選挙の4篇。はじめの3作の主人公は「あー、あの人だ。」とわかるモデルがいる。ナベツネさん、ホリエモン、黒木瞳・・・。文句がこないのかな。正直に言うと、実在の人物を彷彿とさせる設定は邪魔だった。まあ、それがあっても、十分面白いんですがねぇ。特にカリスマ稼業は、最後まで入っていけなかったなぁ・・・。さすがに3作目で息切れしたのだろうか。
2010年11月05日

空中ブランコ (奥田英朗)

伊良部センセイシリーズ第2弾。図書館になかったので、ブックオフで買いました。ブックオフで105円じゃない文庫本を買ったのって、記憶にないなぁ。
イン・ザ・プールが、サラリーマンや高校生といったごくごく普通の人たちが患者だったのに対して、空中ブランコでは、表題作(=直木賞受賞作)の空中ブランコ乗りのほか、ヤクザ、神経科医、プロ野球選手に女流作家と、その道のプロ。お話はちょいと荒唐無稽になるけど、やっぱり面白い。 看護婦のマユミさんのキャラが少しずつ判ってきたのが楽しいな。
2010年10月24日

マドンナ (奥田英朗)

ン・ザ・プールの奥田英朗の別シリーズ?である。伊良部センセイは出てこないけど、自分と同じくらいの立場(中年の中間管理職)が各お話の主人公である。部下の女性社員にときめいたり、上司に反抗的な同期をいさめたり、職場の不正を見つけたり・・・。ありそうで、なさそうで、ありそうなシチュエーション。自分だったら、どうかなぁなんて思いながら読み進める。いずれのお話も、最後がホッとする感じで後味が爽やかなお話ばかり。これまた、お奨め。
2010年10月11日

イン・ザ・プール (奥田英朗)

ここのところ「御宿かわせみ」を続けて読んでいて、読書記録をつけるタイミングをはずしてしまった。で、ちょっと趣向を変えて手に取ったのがこの本。
プールで赤ん坊が泳いでいるような、ちょっとミステリアス?な表紙なので、サスペンスものかと思ったが、これが無茶苦茶面白い短編集。
舞台は、総合病院の地下に忘れられた神経科。デブでマザコンで常識はずれの医師・伊良部のもとに、いろいろな症状を抱えた患者が回されてくる。
下痢が止まらない、勃起が収まらないといった身体の症状を抱えるサラリーマン達、誰かにストーカー行為を受けているというコンパニオン、携帯メールから手が放せない高校生、強迫観念にとらわれているルポライター。
彼らは皆、半信半疑で伊良部の治療(とも言えないが)を受けているうちに、癒され、いつの間にか症状がなくなってしまっている。

所詮、作り話だよなと読み進めたが、携帯依存症の高校生はSNSに時間をとられている自分に重なる部分があり、さらに、何度も火の始末を確認しないと外出できないルポライターは、まさに「あれ? 鍵かけたっけ?」と引き返すことのおおい自分そのものだ。そんな自分も、読んでるだけで、カウンセラーを受けた気になる、そんな重宝な小説でした。
「最近、ちょっと疲れたな。」という人に強くお勧めしたい一冊。調べたら、伊良部センセイのシリーズはあと2冊あるようなので、是非とも読んでみたいと思う。(さらに調べたら、以前読んだ「東京オリンピックの身代金」の作者でもあった。あのお話もテンポがよくて面白かった。しばらく、追いかけてみるか・・・)
2010年10月01日

蝉しぐれ (藤沢周平)

鶴岡出身の作家の長編小説。新聞に連載していたそうで、とっても読みやすい。ハラハラしながら、次へ次へと読み進める。最後にちょっと切なくなる。
2010年07月04日

鬼首殺人事件 (内田康夫)

秋田県雄勝町の小町祭で突然老人が不審死。自殺なのか、殺人なのか。
たまたま現場にいた浅見光彦が謎解きを始める。
最後の最後まで先が読めず、大どんでん返し。あっという間に読み終えました。
2010年05月14日

フィッシュストーリー (伊坂幸太郎)

仙台の人気作家、伊坂幸太郎の短編集。表題作のフィッシュストーリーは4つの時代の別々の出来事が実は見えない糸でつながってる・・・ってことが最後に判ってくる。伏線を後で回収するってところはゴールデンスランバーと同じ。
映画も見たくなるな。
2010年05月09日

ホームレス中学生 (田村 裕)

お笑いコンビ「麒麟」の片割れ、田村さんの自伝。市立図書館で予約したら1年2ヶ月待ちでようやく読むことができました。
中2の夏休み、父親の「解散」の一言で、家を失い、父親もいなくなり、兄・姉とも別れて公園で雨露を凌ぐ生活を余儀なくされた田村さん。 その部分だけがクローズアップされて宣伝されているけど、中学・高校と多感な時期を丹念に描いたお話し。
周りの人々の温かさ、そして、それに対する作者のつきることのない感謝の気持ちが全編に溢れていて、読んでいてホンワカ、じんわりとなる本でした。
2010年04月27日

納棺夫日記

映画「おくりびと」のモチーフになった本。映画の元になった小説なのかと思ったら、ちょっとした哲学書。
2010年03月05日

ゴッホは欺く (ジェフリー・アーチャー)

世界的な名画収集のために、資産家に高利の融資をしては借金のかたに絵を取り上げている銀行家。そのためには汚い手段もいとわない。
そんな彼の下で働いていた学芸員の女性が、ゴッホの自画像をめぐる取引でクビになったことから、彼の裏の顔を暴くべく、立ち向かう。
舞台は2001年の9.11同時多発テロの日のNYから始まり、イギリス、ルーマニア、そして東京も出てくるのである。2週間ほどの間に起こった出来事をジェットコースターのようにつづっている。
寝ていくはずの高速バスで読み始めてしまったら、5時間読み続けることになってしまった。途中、若干法律的なことがわからずに中だるみしたが、それを差し引いても、文句なく面白い。
2010年02月26日

天使の涙 (木根尚登)

IOHの最新作「天使の涙」のベースになった短編集。 天使の涙の舞台にもなった骨董品屋「竜眼堂」シリーズはあたかもドラえもんのポケットのようで、「ギター」「電話」「鏡」など、一旦は絶頂になるのだが、ハッピーエンドにならず、最後は痛い目にあうんですわ。木根さんの溢れる才能を感じますね。
2010年01月28日

運命の息子 (ジェフリー・アーチャー)

運命のいたずらで、方や保険外交員の、方や製薬会社の副会長の息子として育てられた双子の兄弟。全く違った人生を歩んだ二人が、ともに政治を志、ついには州知事選挙で相対するまでを描いた長編小説。文庫本で2冊900ページほど。二人のエピソードが交互に出てくること、特にお話の前半は大勢の登場人物(しかも、後半には出てこない)があるので中々読みづらい。が、後半になり、こちらも慣れてくると、次はどうなる、次はどうなる・・・と、寝る間も惜しんで読み進めてしまった。
最後、どちらが州知事選挙で勝ったのかが判りにくいのが難点。800ページ以上さかのぼったところにある「ひと言」を思い出さないと解けないのだ。(どっちが可ってもいいんだけど・・・)、
2010年01月07日

北京オペラ (木根尚登)

TMネットワークの木根さんは、ミュージシャンだけでなく、作家としての顔も持っている。北京オペラは98年に彼が書いた長編小説である。
記憶喪失の主人公・竜崎が、自分探しをしている。インターネットを使い、「自分は誰か」を問いかけ、寄せられた情報をひとつひとつ検証していく。
杳として判らない自分の過去だが、私立探偵やメールで接触してきた女性の協力もあり、少しずつ判ってくる・・・。
第1章〜第5章は伏線に過ぎず、第6章でどんでん返しで真相が分かるのだが、伏線の部分もハラハラ読み進められる。結果は「そんなことは、ないだろ。」という気にさせられるが、まずまずのお話し。キーワードは「輪廻」だと思うが、彼の宗教観が出ているのであろう。 # 誤字が多い。校正はしているのだろうか?
2010年01月06日

2009年  21冊

非常人事 (江上剛)

元みずほ銀行の銀行マンが書く企業小説。企業内の派閥抗争を題材にした短編集。いずれも結末が小気味よいのだが、実在の企業や事件を髣髴される部分があり、その点がちょいとうるさい感じ。あくまでもフィクションにしてもらった方が素直に読めるのだが。
2009年12月14日

プリズン・ストーリーズ (ジェフリー・アーチャー)

作者のアーチャーはイギリスの政治かでもあるんだけど、名誉毀損の裁判での偽証罪で実刑判決を受けて刑務所に入ったんですって。その間の経験を獄中記にしてるというから、転んでもタダで起きない人。
で、その間に受刑者仲間から聞いた「事実は小説よりも奇なり」な内容のお話しを集めた短編集。面白いですわ。
2009年12月10日

難破! (佐伯泰英)

タイトルにビックリマークがついているけど、歴史小説。「古着屋総兵衛影始末」というシリーズものの途中を読んでしまったようである。
説明すると「江戸時代、禁じられている外国との貿易をするために、最新鋭の舟を作った男の物語」という、何ともつまらないものになってしまうが、このお話しの前に時の権力者・柳沢吉保との闘いが描かれているらしい。本編もどんでん返しの連続で、ドンドン読み進めることができるのだが、何ともラストがあっけない・・・、と思ったら、この後もあるらしい。うーん、最初から読まなかったのは失敗だったか。
2009年11月01日

黒パン俘虜記 (胡桃沢耕史)

タイトルは知ってたけど、読む機会がなかった。敗戦と同時にモンゴルの収容所に抑留された筆者の2年間の生活を綴ったもの。
体制が崩壊したときの混乱。
新体制も矛盾だらけの出発。形式だけにとらわれ、一度決めたことは理由もなく守る。それにすぐ順応できるのは旧体制のアウトロー。混乱に乗じて自分たちの覇権を確立する。
一方で、旧体制の権力者は見るも無惨な状況に。
そんな中、一芸に秀でた筆者は何とか命を長らえる。
今のどこかの国も似たような状況。果たして、自分はどのグループにいるのだろうか。
2009年10月27日

蘇える松田優作 (大下英治)

田優作の生い立ちから亡くなるまでを丹念に綴ったノンフィクション。タイトルはもちろん彼が主演した映画「蘇える金狼」から来ている。
おいら達の世代では松田優作といえばジーパン刑事、最後の「なんじゃ、こりゃー。」は誰もが真似をしたものだ。その後「探偵物語」も人気を博していた(おいらは見たことはなかった)が、それ以外にも、たくさんの映画、ドラマに出ていたんですなぁ。知らなかった。エピソードの羅列の感はあるけど、40年の人生を駆け抜けたことがわかる。中で紹介されているいくつかの映画、「陽炎座」「家族ゲーム」「ブラックレイン」なんてのを見てみたくなった。
2009年10月09日

花冷え (北原亞以子)

表題作を初めとする7篇の時代小説短編集。いずれもあまり幸せではない女性が主人公。時代に翻弄されたり、男にだまされたり。必ずしもハッピーエンドではないのだが、何かしら前向きな、少しだけ明るい希望を感じさせるラストになっている。何よりも細やかな視点での描写が美しい。映像が目に浮かぶ小説ばかりだ。
2009年10月09日

合併人事−二十九歳の憂鬱  (江口剛)

小説ではあるが、あたかもノンフィクションのような趣がある。29歳の主人公・日未子が勤めるミズナミ銀行は、本店を内幸町に置き、興産銀行と大日銀行が合併してできた。まるで「みずほ銀行」ですね。
合併企業内の覇権争いや男性社員の出世欲を縦糸に、不倫問題やら女性総合職の焦燥感やらが横糸。
職場のパワハラとか覇権争いが、あまりにもステレオタイプに描かれている。ところどころキラっと光るひとこと(主人公のルームメイトであるヨガ教師や、ダイビングインストラクターのセリフであるものが多い)もあるが、職場の「教材」のような一冊。ラストも「やっぱり・・・」という感じでした。
2009年09月07日

オリンピックの身代金 (奥田英朗)

分厚い単行本、随分前に仙台市図書館に予約をした。今となっては、何故、この本を読む気になったのかは不明・・・(汗)
東大大学院生の島崎国男が、出稼ぎ労働者の兄の死をきっかけに、東京オリンピックを粉砕しようと爆弾テロを仕掛ける。
物語は、国男、彼の大学の同級生でテレビ局に勤める須賀忠、彼を追う刑事・落合昌夫の3人の目を通し、時間と空間が行きつ戻りつしながら進んでいく。

最初から犯人も分かっているし、タイトルからおおよその犯罪の中身も察しがつく。そんな中でパズルをピースがどんどん埋まっていく。ゴールデンスランバーにも似た作り。作りだけでなく、強大な警察権力と普通の市民が闘うという点でも似てる。ラストがちょっと・・・。

昭和39年当時の町の様子、風俗、学生気質、人々のオリンピックを前にした高揚感といったものが生き生きと描かれている。土地勘のある場所(上野界隈、神宮外苑、首都高や東北地方)が多かったこともあり、また、時代背景にもおぼろげな記憶があることから、楽しさ5割増し。お奨めの一冊。
2009年08月29日

はぐれの刺客 (澤田 ふじ子)

大垣藩士の次男。剣の腕は滅法強いが部屋住みのために冷や飯食い。ある夜、盗賊を討ち取ったことが褒められるどころかお咎めを受けることとなり、藩に絶望。脱藩・・・。ちょっとした歯車の違いで、運命が悪い方、悪い方へと進んでしまった男の物語。最後の最後で良い方に動くかな・・・と思ったのにやはり×。一気に読める素晴らしいお話し。気がつくと悪い人が殆どいないのに(悪いヤツは成敗される)、後味の悪さばかりが残った。
2009年08月11日

ゴールデン・スランバー (伊坂幸太郎)

映画のエキストラに出たことから俄然興味が湧き、ハードカバーを購入。重いのに持ち歩き、細切れながらも一気に読了。主人公が逃げ回る仙台には土地勘があり、登場人物を映画の配役に重ねられるので、頭の中で映像化しながら読み進んだ。
最後までハラハラし通し。過去のちょっとした言葉や行動が、後になってジグソーパズルのピースのようにうまくハマってくるのだ。
エキストラ参加記念で貰ったエコバッグに「たいへんよくできました」のスタンプが押してあったのだが、小説を読んで、一番最後の最後に「なるほどぉ」とウルウル来ちゃいましたよ。いやぁ、もし、最初に小説を読んでいたら、あの記念品を貰った瞬間に泣いちゃったかも。
2009年08月11日

十四の嘘と真実と (ジェフリー・アーチャー)

14の短編が散りばめられてる。9作は実際の事件に基づいているそうな。
結構、込み入ったストーリーで、最後にどんでん返し。なかなかである。さすが、ジェフリーアーチャー。
2009年07月11日

黒幕 (池波正太郎)

久しぶりの池波作品である。
戦国から江戸時代の歴史の裏舞台で活躍した人物達の物語。短編集である。
真田幸村、秀吉、家康等の権謀術数を描いてるのだけど、あっという間に読んじゃいましたわ。
2009年06月09日

八甲田山 死の彷徨 (新田次郎)

ちょっと前に映画化され「天は我らを見放した。」という北大路欣也(今じゃ、犬のお父さん)のセリフで有名な小説。
先日、八甲田山を滑り、遭難の地を訪れ、遺品等を見たことから、遅ればせながら読んだ。八甲田だけでなく、十和田湖も昨夏、旅行したため、出てくる地名や地形に土地勘があり、臨場感?をもって読めた。
雪山を舐めちゃイカン・・・と、改めて感じたし、組織(上司)ってのはどうあるべきかってのを考えましたねぇ。
2009年05月27日

心とろかすような (宮部みゆき)

偵事務所に飼われている元警察犬のマサが、探偵事務所の女性探偵と事件(依頼)を解決していく。マサが一人称で語っており、彼の嗅覚のほか、カラスや野良猫など、町なかの動物たちからの目撃証言をもとに事件解決していくのだ。若干、社会的なテーマを匂わせつつも、全体としては軽〜〜く読み進められる楽しい推理小説。
2009年05月15日

金環蝕 (石川達三)

扉に「まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真黒に腐っている。」と書かれている。
「F−川ダム」(映画では「福竜ダム」)の入札にまつわる汚職事件を題材とした小説。
実際に、九頭竜ダムで起こったとされる池田首相、田中彰治など政治家や、鹿島、間組などのゼネコンが、電源開発を舞台に繰り広げる受注合戦が小説の形で再現されている。おいらも名前に覚えのある森脇将光がモデルとなった黒幕も出てくるが、あくまでも小説である。
今となってはあり得ないような政界工作が行われていたんですなぁ。
小説としてはそれほどでもないが、これが実話と思うと怖いです。
2009年04月20日

ナマハゲ殺人伝説 (生田直親)

仙台在住の盲目の郷土史家が抜群の推理力で、陰惨な殺人事件の謎解きをする。ナマハゲの由来や、男鹿の名所、そして「花岡事件」なんてことが丁寧に書かれているし、事件そのものの仕掛けもびっくりなのだけど、何ともちぐはぐで、すっきりしない読後感がある。
主人公の言動が一致しない(ある場面では、「田舎では噂が立つだけで被害が」と配慮を見せるのに、別の場面では同じ情報をテレビ局に流して、実名報道させてしまう。)し、孫ほどアシスタントの女性との思わせぶりな会話がストーリーに全く関係がないし、何よりも最後がスプラッタ・・・。
2009年03月15日

生協の白石さん (白石昌則)

5年ほど前にネットで盛り上がった、農工大生協の「ひとことカード」。学生の無茶なひとことに、誠実に応える担当の白石さん。
改めて読んでみると、ホンワカしてきます。白石さんに会ってみたくなります。
2009年02月25日

65歳で語学留学、66歳のルート66  (高橋信哉)

筆者は宮城県庁のOB。リタイヤしてから、タイトルのとおり、1年間アメリカに滞在して、サンフランシスコの語学学校に11ヶ月留学、その後1ヶ月掛けてサンフランシスコからニューヨークまで自動車で大陸横断した方。その1年間のできごとや思いを綴ったもの。
そのパワーも凄いと思いますが、亡くなった奥様とのやりとりが最後にあって、ウルっと来ちゃいます。全編に「先輩、ホントに日本(宮城)が好きなんですねぇ。」ってのが散りばめられてます。
# 著者の高橋さんと名掛丁「花祭り」で隣り合わせたご縁で読ませていただきました。
2009年02月17日

仙台駅殺人事件 (西村京太郎)

東京から帰ってくる新幹線の中で読んでました。仙台駅の様子、近隣の地名等が出てきて、まるでドキュメンタリーを読んでいるかのような不思議な感覚。
十津川さんの推理があまりにもうまくハマっちゃうのが、何とも心地よいですわ。さすが、任期シリーズですな。
2009年02月09日

優しく埋めて (日下圭介)

推理小説の短編集。男と女のもつれからの殺人事件がメイン。短いながら、どんでん返しがキレイ。犯人であって欲しくない人が無実、ってのが判るので、気分はいいな。
2009年01月26日

妻恋坂 (北原 亞以子) 

江戸時代の歴史物。短編集。ひねりの効いたお話しなのだけど、どうにも、こうにも読後の爽快感がないのです。
2009年01月22日

2008年

喪失の殺意 (新津きよみ)

女監察医・叶理香子の検案調書から」とのサブタイトルのある推理小説。先日の「正当防衛」と同じ作家の本である。
最初から犯人らしき人物が判ってて、そこにたどり着くまでのプロセスを読ませるのですわ。一気に読み進んだのは前回同様です。うむ、あなどれないな、この作家。
2008年12月28日

天下り酒場 (原 宏一)

何とも人を食ったタイトル。ちっちゃな居酒屋に、常連の紹介で県庁の役人が天下ってきた。元役人は、経理の能力を発揮して、傾いていた居酒屋を建て直す。それどころか、二号店、三号店を開店していく。しかし、そこにはとてつもない思惑があったのだった・・・。
表題作の外、「資格ファイター」、「ボランティア降臨」、「ブラッシング・エクスプレス」(以上、ベンチャービジネス系)、「居間の盗聴器」、「ダンボール屋敷」(以上、家族系)の短編。いずれも、ドキドキしながら読める。
原 宏一。こりゃ、要チェックだな。
2008年12月25日

正当防衛 (新津きよみ)

鬼平も終わってしまい、さて、どっち方面に行こうかな・・・と。
この間、時代物を2冊借りたけど、どちらも読み進まずに返してしまった。
で、気分転換に、焼死に薔薇の花が一杯の小説、しかもタイトルは「正当防衛」。心理サスペンスとある。一体、どんなジャンル?
まあ、騙されたと思って読み始めたら・・・、案に相違して面白かった。この後、どうなるの・・・とあっという間に読んでしまいました。
推理小説のストーリーは書かないのがマナーだと思うが敢えて一言。「大どんでん返しに、少々の後味の悪さ」 お奨めである。
2008年12月02日

鬼平犯科帳 (二十四) (池波正太郎)

短編2話と「特別長篇 誘拐」が収められている・・・、が誘拐は未完である。というのも執筆中に池波正太郎が急逝したからである。実は、それを知らずに読み始めたので大ショック。おーい、誘拐されたおまさはどうなっちゃったんだよぉ・・・。
あーあ、これで平蔵ともお別れだなぁ。さて、この後、梅安に行くのか?>ぢぶん
2008年11月09日

鬼平犯科帖(二十二) 特別長編 炎の色 (池波正太郎)

しばらく間が空いたが、これまた鬼平の長編である。が、東京へ行く高速バスの中で一気に読み終えた。おまさに懸想する女盗賊の行方が気になるところ。
お園なんていう、新たな登場人物。さて、今後、どうやって膨らましていくのかな。
2008年10月27日

隠し剣孤影抄 (藤沢周平)

山形県出身の藤沢周平の短編集。 それぞれの主人公は、必勝の凄い秘剣を伝授されているのだが、うだつが上がらない侍だったり、その妻だったり。このあたりは、たそがれ清兵衛と似てる。 そんな彼らが、藩命だったり、行きがかりだったりで、その剣を使わざるを得ないってのです。女人剣さざ波ってのが面白いかな。
2008年10月24日

肉体の悪魔 (ラディゲ)

書名・作家はずっと前から知ってたが、ようやく手に取った。
ストーリーはごくごく単純。一次大戦中のフランス。早熟な15歳の少年が3歳年上の人妻と恋に落ちる。戦地の夫に隠れて密会を続ける。人妻は妊娠、そして・・・。
背伸びをする少年の一人称で語られる私小説風(実際、ラディゲは同様の体験をしたらしい)の文体は、今年翻訳し直されたらしいが、繰り返し繰り返し自分を正当化するセリフで綴られる。読んでいて哀れになってくる。
30年前に読んだら、どんな印象だったのだろう。
2008年10月04日

会津若松からの死の便り (西村京太郎)

タイトルに惹かれて手に取った。いわゆる推理小説。短編5編でうち3編は十津川警部がでてきた。高橋秀樹とか渡瀬恒彦がドラマで演じてた役。
西村京太郎っていうとトラベルミステリーのイメージだが4編がそれ。最後の1編だけ別。
で、あっという間に読んじゃった。280ページほどの本だけど2時間くらいだろうか。まあ、時間つぶしにはいいが、特段描写が細かくもないし・・・。つまらないわけではない。
2008年09月25日

鬼平犯科帖(二十二) 特別長編 迷路 (池波正太郎)

鬼平の長編である。長編は苦手なんですけど、これは読み進めた。
「平蔵万事休す」である。頭をまるめて托鉢僧姿での巡回なんて、よっぽど追いつめられてる・・・っていう感じだな。
二つの糸(意図)がつながったときの平蔵の動きの早いこと早いこと。
にしても、細川同心ってのはホントに駄目なヤツだなぁ。
2008年09月25日

夜明けの星 (池波正太郎)

国分町・五鉄の親方からお借りした池波の長編。「一気に読めますよ。」と言われたけど、池波の長編は・・・。読んだら、本当に一気。登場人物が少なく、2人の主人公がお互いを知らないままに時が過ぎていく。
タイトルの「夜明けの星」は最後に出てくる。
2008年09月07日

鬼平犯科帳 (十六〜二十) (池波正太郎)

読み続けてます。仙台市民図書館様々です。
これのお陰で、昼飯を一人で食べに行こうが、医者で2時間待たされようが、高速バスに5時間乗ろうが、全く苦になりません。
さて、二十巻目に、ついに出てきました。秋山小兵衛。「寺尾の治兵衛」という話の中で鬼平に「そのとき審判をつとめられたのは無外流の名人・秋山小兵衛先生で、・・・」と語らせている。何故だろう??
2008年09月05日

仮装行列 (戸川昌子)

市民図書館で鬼平を続けて借りているのだけど、丁度、予約が途切れちゃったので、ふと手にとった一冊。1967年に刊行されたこの本は、上流社会の男女の色と欲を描いた小説。みんな、腹の中で考えていることを隠して、振る舞っている・・・、これが仮装行列。40年前のため、性的な描写がとても婉曲的で好ましい感じがする。
しかし、当時の上流社会って、こんな感じだったのだろうか。日本道路公団に就職したエリート技師なんてのが出てくるんだけど、そうだったのかしら。
ところで、戸川昌子さんって、渋谷で「青い部屋」っていうシャンソニエをやってて、20年ほど前に2,3度、呑みに行ったことがある。最後はご自身も歌うんだけど、偉い作家さんなのに、とっても気さくなおばさんでした。一緒に写真を撮っておくんだったなぁ。
# と思って調べたら、喜寿の現在でも毎週、青い部屋で歌ってるらしい。
2008年08月26日

公務員の異常な世界 (若林亜紀)

公務員批判ライターさんの本。サブタイトルが「給料、手当、官舎、休暇」とあって、国家公務員や地方公務員が如何に厚遇されているかを丹念にレポート。ところどころ「そうは言っても真面目な人もいる」的な記述もあるのだが、これによって公平中立である印象を持たせつつ、全体としては強烈な批判であることは間違いなし。
4月〜3月のそれぞれの行事に関連して綴っていく構成はそれなりに面白かった。筆者自身の公務員時代の暴露話は既にいろいろなところに書かれているものばかりだった。
2008年07月31日

鬼平犯科帳 (十二〜十五) (池波正太郎)

15巻目は「雲竜剣」なる副題が付けられた特別長編である。
お話しは、最後にどんでん返しがあって、面白いは面白いのであるが、毎日少しずつ読んでると、訳がわからなくなってくる。「あれ、左馬サンは行ったっきりじゃん。」とか、「辰蔵はどうした?」である。
うーん、長編である必要は全くないと思うのだが・・・。
2008年07月03日

仙台ミステリー傑作選

仙台を舞台にしたミステリー7作のオムニバスである。
このうち「X橋付近」(高城高)が新聞で紹介されていたので、借りて読みました。7作とも確かに、仙台界隈が舞台になっていて、見慣れた地名もあるので興味深いが、如何せん、作者の違うミステリー、それもオチがなかったりするようなのを7つも一気に読むのはキツいですわ。それまで鬼平漬けだったし。
「X橋付近」は仙台駅付近が舞台。その他6作は次の通りで、全て舞台付近の略地図が載ってるんだけど、「これ違わないか?」っていうのもあるし、誤植も多いし、あまりできのいい文庫ではなかった。

東北新幹線殺人事件(小林久三) 仙台市内の評定河原
七月・星の女 (都筑道夫) 仙台郊外の熊ヶ根橋
妻を愛す (高橋克彦) 松島
瑠璃色の底 (阿刀田高) セントメリーの帰りに行った青根温泉
遠い春 (藤 雪夫) 地図は仙台市内だったが、川崎町じゃないか?
人形たちの夜・秋 (中井英夫) 遠刈田ほか、こけしの産地。
2008年06月15日

鬼平犯科帳 (三〜十一) (池波正太郎)

GW前に読み始めた鬼平犯科帳。結局、市民図書館で予約を繰り返して、十一巻まで読み進んできた。
ここまで読んできて、剣客商売との違いは
・料理のシーンが少ないこと
・登場人物の成長があまりよく判らないこと
くらいだろうか。でも、面白い物は面白いのだ。
ここで、一旦小休止。また、読み進めますぜ。
2008年06月08日

鬼平犯科帳 (一、二) (池波正太郎)

久しぶりに剣客商売をテレビで見て、読み返したくなった。
仙台の市民図書館に行ったのだが、池波正太郎は先に読んだ「江戸の暗黒街」と、この「鬼平犯科帳」の一〜三の4冊しかないのだ。
で、三冊まとめて借りて、高速バスの移動中に読み始めたところ、これが面白い。寝る時間を削ってしまうようになった。まずい・・・。
まだ、2巻しか読んでないけど秋山小兵衛とは、かなり違うキャラだな。それにおカミだし。
さて、3巻まで行っちゃったら、あとはどうすればいいんだろう。図書館にリクエストしてみるか。
2008年04月28日

江戸の暗黒街 (池波正太郎)

久しぶりの池波正太郎である。悪いヤツばかり出てくるのだが、それだけで終わらないのが池波のすごいところ。
悪いヤツよりも、もっと悪いヤツが出てきたり、悪いヤツが勘違いで自滅したり。週末の新幹線の中で一気に読み進みました。
2008年04月07日

沈まぬ太陽(一)〜(五)

山崎豊子。かつて、上司が「一度読むといいぞ」と奨めてくれた本だったが、これまで機会がなかった。
昨年秋、自由が丘の古本屋で文庫本が全5冊500円で買ったのだが、その後転勤になり、通勤時間が短くなり、なかなか読み進まなくなってしまった。
で、読み終わって・・・疲れましたわ。御巣鷹山の描写はきついし。最後の最後、主人公が幸せにならないんですよ、きついわ。
この小説の主人公、実在のモデルがいるのだが、美化しすぎているそうな。ネットで調べてもかなり否定的な評価されてますわ。
2008年04月04日

2007年 30冊

八州狩り 夏目影二郎赦免旅 (佐伯泰英)

人を殺めて入牢していた主人公が、関東八州回りの役人の悪事を暴くことを条件に、出獄を許される。途中で拾った犬とか南蛮合羽とか小道具がいい。が、途中で出逢った娘がどうしてここまでつくすのか?ってのが不明。国定忠治も邪魔なセットになってるな。ついつい、剣客商売と比べてしまう。
2007年11月24日

剣客商売読本 (池波正太郎 ほか

) 6月にふと手にした池波正太郎、すっかりはまってしまい5ヶ月。ここで、一旦、冷却期間をおくべく、最後の〆に借りたのがこの本。ご本人が剣客商売を語ったり、人物事典、料理帖、挿し絵で見る名場面といった記録集、著名人のエッセイ(作品に関するもの、池波正太郎に関するもの)が満載である。 〆のつもりが、また読みたくなってしまう・・・。
2007年11月14日

おせん (池波正太郎)

女性が主人公になっている13の短編集。耐える女性が最後に・・・っていうお話しが多く、やっぱり女性は強いな認識したり、男ってやつは、と反省したり。
例えば「おきぬとお道」。2人の女性の間を行ったり来たりする放蕩者の話。

お道は「色黒、ちぢれ毛、唇厚く、鼻の穴が空を見上げてる大女」、一方のおきぬは「細っそりとして、色白で、鼻すじの通り具合なぞ、この世のものとも思われない」美人。どう見ても、おきぬの勝ちで、男もお道との縁談を断り、おきぬと結婚する。が、一皮剥いてみると、おきぬは「骨と皮ばかりで乳房がどこにあるかわからない、肌はかさかさに乾いて、背中にもじゃもじゃと毛が生えてる」だった。たまらず、男は出奔する。

歳月が経ち、男が男装の車夫となっていたお道と再会。で、「労働で筋肉は引き締まっていたけれども、まことになめらかな肌で、乳房の固いふくらみなぞは・・・(以下自粛)」なんだそうな。

女は顔じゃない、身体だ、ってのも、随分なストーリー(今どきだったら「心だ」ってなりそう)だが、考えさせられるお話ではあった。

「狐の嫁入り」のラストが、落語のサゲのようで面白い。

蕎麦切おその/烈女切腹/おせん/力婦伝/お菓子所・壺屋火事/女の血/三河屋お長/あいびき/お千代/梅屋のおしげ/平松屋おみつ/おきぬとお道/狐の嫁入り
 
2007年11月07日

秘伝の声 (池波正太郎)

剣客商売は読み終えたが、引き続き池波正太郎である。これも、やはり『剣客もの』である。
2人の剣客の余りにも違う人生を描いた長編。その意味では黒白に似ているが、こちらには秋山小兵衛が出てこない。料理も出てこない。まあ、普通のお話しである。
2007年10月30日

黒白 (池波正太郎)

剣客商売番外編。長編で、しかも上下二巻で900ページ以上。
秋山小兵衛が30代の頃の出来事である。まだ、四谷に道場を構えており、弥七の父親の助五郎が十手を預かっている。剣客商売本編よりも30年ほど昔になるのだが、小兵衛の口振りなどは既に60代のそれと同じである。もう少し、若々しい立ち居振る舞いなのかと思うとそうではない。
タイトルの黒白。剣客修行の旅に出る大二郎に向かって「人の生涯・・・いや、剣客の生涯とても、剣によっての黒白のみによって定まるのではない。この、ひろい世の中は赤の色や、緑の色や黄の色や、様々な、数え切れぬ色合いによって、成り立っているのじゃ。」と説いたところから付けられている。
この長編は、小兵衛ではなく、波切八郎という剣士の生涯を描いているのだが、その彼が、余りにも黒白を付けたがり、それ故、不幸になったことを指しているのか、はたまた、小兵衛自身が、歳を取って女性に目覚めたことを指すのか・・・。
本編では語られていなかった人間関係も出てくるので、また第一巻から読みたくなってしまった。
2007年10月18日

【読】 ないしょないしょ (池波正太郎

) 「剣客商売 番外編」と銘打った長編。秋山小兵衛は53歳。ちょうど、四谷の道場をたたみ、鐘ヶ淵に隠棲する頃である。
剣客商売の長編はやたらと登場人物が多く、途中で間延びするので苦手だったが、これは主人公・お福の16歳から36歳までの生涯がテンポよく綴られていて飽きさせない。衝撃のシーンから始まるため、とにかく「幸せになってくれ」という気持ちで読み進む。さて、彼女は幸せだったのだろうか・・・。
これで、お借りした剣客商売はおしまい。「包丁ごよみ」を見ながら、想い出に浸ってます。
# が、我慢できず、古本屋でこれまた番外編「黒白」上下2巻を買ってきました。しばらく、小兵衛と一緒。
2007年10月04日

【読】 剣客商売 浮沈 (池波正太郎)

とうとうこの日がきてしまった。剣客商売最終巻である。第一巻から3ヶ月半、楽しかった。通勤が苦にならなかった。
で、この最終巻。又六と杉原秀がくっついた。前巻で「この2人、きっと」って思ってたから、うむうむ・・・である。秀から、ってのも、やっぱりなぁ、っていう感じ。心から祝福である。 にしても、この最終巻、これまた、何とも爽快感がない。何故に平松伊太郎の再訪で全16巻の〆なのかなぁ。うーん・・・。
ハッキリ言って、フラストレーションたまりますわ。
# だから、読み返したくなるのかなぁ。
2007年10月02日

剣客商売 二十番斬り (池波正太郎)

第15弾。前に「十番斬り」ってのがあったから、「ああ、二十人斬るんだな。」とネタバレしちゃう。長編。ハッキリ言って、おいら、剣客商売の長編とは相性が悪いみたい。つまらなかった・・・。
何がつまらないって、とにかく、1人の男(+幼児)をかくまうために、いろいろな場所を転々とし、見張りはこれまでの登場人物が総出演・・・。その間、ストーリーは全く進行せず、しかも、我らが不死身の秋山小兵衛が目眩なんぞを感じて、老境を感じさせるし。
又六と秀が何となくいい感じになるのだが、本編では何事もなし。次巻へのお楽しみだろうか。
そうそう、二十番斬りなのに、十九人しか斬らないから、あれれ、と思ってると・・・。ここだけは、ちょいと洒落ていた。
ところで、剣客商売の各場面が、現在のどの辺りかを調べているサイトを発見。このサイト、単に次図に位置があるだけでなく、ちょっとした工夫(相当な手間だと思うけど)があるので、サイトだけでも楽しめるんですわ。一巻から読み返したくなっちゃった。
http://isaoyoko.hp.infoseek.co.jp/kenkaku.html
2007年09月25日

剣客商売 波紋 (池波正太郎)

シリーズ第13弾。文庫本の表紙の絵がいい感じだ。どこぞの縁台に座った小兵衛が孫の小太郎を抱いている図である。好々爺とはこのことだ。読み進むと、このシーンは「敵」の中にあった。「秋山小兵衛は、石浜神明宮と道一つ隔てた真崎稲荷の門前にある茶店にいた。いつものように、茶店の団子を自分が噛みつぶし、やわらかくしたのを孫の小太郎へ食べさせている。」
おはるでなくても「ま、汚いよう、先生」といいたくなるな。昔はベビーフードなんてのはなかったから、よく見た光景だろうが、今だと「おじいちゃんのミュータンス菌がうつるからダメ」ってなことだろうな。 この巻は男と女の業なんてものを考えさせるな。小兵衛や内山文太ら剣客のの若気の至りもかいま見られて、やっぱ人間だよねって気にさせる。
消えた女/波紋/剣士変貌/敵/夕紅大川橋

2007年09月17日

剣客商売 十番斬り (池波正太郎)

やめられない、とまらない。シリーズ12弾である。一気に読んでしまった。表題作の「十番斬り」が泣かせる。「罪ほろぼし」なんぞは、第2巻に遡ってもう一度「辻斬り」を読みたくなってしまう。にしても、小兵衛に義弟がいたとは・・・。だんだん、入り組んでくるな。
お借りしたこの巻には帯が残っていて、テレビの「剣客商売」のキャストが書かれている。これによれば、 小兵衛:藤田まこと、 おはる:小林綾子、 三冬:大路恵美、 弥七:三浦浩一、 老僕・嘉助:江戸家猫八、 田沼意次:平幹二朗、 鬼熊:大滝秀治、 手裏剣お秀:遊井亮子 
だったそうな。へぇ、三浦さん、弥七だったんだ・・・。今度お逢いしたら聞いてみよ。
白い猫/密通浪人/不寝鳥/十番斬り/同門の酒/逃げる人/罪ほろぼし

2007年09月12日

剣客商売 勝負 (池波正太郎)

秋山小兵衛の孫が生まれた。小兵衛のおじいちゃんぶりが微笑ましい。お話も少しずつ明るい感じに戻ってきて、やっぱこれじゃなくちゃ。ついつい、目が潤んじゃうお話ばかり。
美味そうだったのは豆腐。「井戸水でよくよく冷やした豆腐の上へ摩り生姜をのせ、これに、醤油と酒を合わせたものへ胡麻の油と二、三滴落とした物をかけまわして食べる」(小判二十両)  ううっ・・・。 剣の師弟/勝負/初孫命名/その日の三冬/時雨蕎麦/助太刀/小判二十両

2007年09月09日

剣客商売 春の嵐 (池波正太郎)

長編である。知らずに読み始めたら、なかなかオチがこないのでびっくり。
最初にいきなり鯛の刺身に軍鶏鍋である。うーむ、美味そうだ。
妊娠した三冬がおはるを思いやる様子がすごくいい。同い年の義理の娘が子どもを産む、っていう、どうかすると複雑な心境をあっけらかんと、我がことのように喜んでいる。
お話は、・・・長すぎるなぁ。通勤電車と寝る前の細切れ読書だと、訳が判らなくなってくる。それに、あまりにも「話がでかい」のでピンとこないし。最初の頃は悪人のキャラが立ってたのだけど、この本ではあまりピンとこないし。
除夜の客/寒頭巾/善光寺・境内/頭巾が襲う/名残りの雪/一橋控屋敷/老の鶯

2007年09月06日

剣客商売 狂乱 (池波正太郎)

シリーズ第8弾。
この中では「狐雨」ってのが、どうにも附に落ちないのである。なんか、それこそ狐に化かされているようで。「仁三郎の顔」も最後まで書いて欲しかった。「狂乱」も「秋の炬燵」も、もう少し違う結末の方がずっと読後感はさわやかなのだが・・・。きっと、そんなのばかりじゃ普通の読者は飽きるのだろうが、おいらは、安心して読んでいたいのだ。
# その点「女と男」の最後は「うむ」という感じである。
さて、シリーズ16冊の丁度真ん中までたどり着いたところで小休止である。アンコールワット旅行の予習のため、しばらくガイドブック、その他を読むことにする。
毒妻/狐雨/狂乱/仁三郎の顔/女と男/秋の炬燵
2007年07月28日

剣客商売 隠れ蓑 (池波正太郎)

シリーズ第7弾。「決闘・高田馬場」のラストの意外さも面白かったが、じんと来たのは「徳どん、逃げろ」。弥七の手の者、傘徳が、少しずつ存在感を増してきていたのだが、ついには短編の主役。しかも、何とも切なくなるラストなのである。うーみゅ、すごいぞ徳どん。
ところで、小兵衛の妻・おはるのセリフは「あれ、うれしいよう」とか「竹の子を煮てるんですよう」などと「・・・よう」が語尾に付くのである。(セリフの最後には「?」はつくことがあっても「。」(句点)はこないのも特徴)
これは、一体、どんなイントネーションになるんだろうか。ちょっと間違えるとラッパー調になってしまう(笑)
# おはるの返事「あい、あい」も好きだな。
春愁/徳どん、逃げろ/隠れ蓑/梅雨の柚の花/大江戸ゆばり組/越後屋騒ぎ/決闘・高田の馬場
2007年07月24日

剣客商売 新妻 (池波正太郎)

シリーズ第6弾。何と言っても、タイトルが「新妻」である。ようやくあの2人が結婚か・・・。確かに結婚したんだけど、それは「新妻」の中ではなく「品川お匙屋敷」の中である。このお話の大治郎の行動は如何なモノかとも思うし、三冬が助かったのは「ラッキー」だとは思う。何ったって、乳房の上をすっすっと斬られちゃってるんですぜ。いやぁ、良かった良かった。
この巻を読んでいた3連休、スキークラブの仲間が結婚したのであるが、その父娘、父が小兵衛に、娘が大治郎に感じが似ているのである。何と言っても、披露宴で「男前」と賞される娘である。
この巻は、何故か、じんわり涙が出てしまう結末のお話が多かった。「鷲鼻の武士」しかり、「川越中納言」しかり。「いのちの畳針」などは、電車の中でなければ落涙していたやも知れぬ。
さて、この巻の料理。やはり、新婚の三冬が一生懸命作る様がよいが、うまそうだったのは彼女が堅めに炊い(てしまっ)た飯に、鴨肉と生卵をかけて食った鴨飯がうまそうだった。
鷲鼻の武士/品川お匙屋敷/川越中納言/新妻/金貸し幸右衛門/いのちの畳針/道場破り
2007年07月17日

剣客商売 白い鬼 (池波正太郎)

シリーズ第5弾。全冊お借りしてから、読むペースが落ちた。余裕が出たのも確かだが、東京メトロのカレンダーを壁に貼り、位置を確認してるからかも。小兵衛の隠宅や、大司郎の道場は地図の外。三冬の根岸の隠宅が上の端っこ。小川宗哲先生のおうちが右の端、弥七の管轄はど真ん中、白い鬼「伊太郎」が隠れていた白金は下の端。これだけの行動範囲、しかも徒歩。すごいな。
今回気になったのは「鮒飯」。内臓と鱗をとった鮒をみじんにたたき、ごま油で炒め、酒と醤油で仕立てたものを熱いご飯にタップリかけ回して食べるのだそうな。うーむ、想像がつかないぞ。
お話でわくわくしたのは「三冬の縁談」。息子も親爺もこの手の話になると、まどろっこしいったりゃありゃしない。
白い鬼/西村屋お小夜/手裏剣お秀/暗殺/雨避け小兵衛/三冬の縁談/たのまれ男
2007年07月14日

剣客商売 天魔 (池波正太郎)

シリーズ第4作。全巻お借りしているので、自分のペースで読める。
このシリーズでは、息子・大治郎がひと皮むけてきている。1人で酒も呑みに行くし、父の代わりに悪者を斬る。「箱根細工」では義母・おはるに土産を買ってきている。それにしても「毛饅頭」とは(笑)
このシリーズで気になった料理は「大根」。薄めのだしでふつふつと煮て、粉山椒をかけて食らう。大根がいいから、うまいのだそうな。ああ、季節が違うぞ・・・。
雷神/箱根細工/夫婦浪人/天魔/約束金二十両/鰻坊主/突発/老僧狂乱
2007年07月07日

剣客商売 陽炎の男 (池波正太郎)

止まらなくなってきた、池波正太郎の剣客商売3作目である。ちなみに、なぜか1〜7は「シリーズ第○作」と呼び、8〜16は「シリーズ第○弾」と呼ぶようである。16作目まで全巻お借りしたので、これで残りページを気にしないで読み進めることができる。(土日しか図書館に行けないため、それまでに読み終えてしまうと、寂しくて、寂しくて・・・)
さて、このシリーズの中では何と言っても、表題作「陽炎の男」だな。佐々木三冬が大治郎に・・・。しかし、ドキドキするような描写もサラっと書かれると、何と言っていいか。おいらも瞠目するな。ああっ、早く続きが読みたい!!
ちなみに季節のせいか、鰻が何度か出てきた。まだ、高級魚ではないそうだ。金時婆さんが出してきた、手長蝦の味醂醤油付け焼きに粉山椒をふったヤツが・・・・、食いたい!!
東海道・見付宿/赤い富士/陽炎の男/嘘の皮/兎と熊/婚礼の夜/深川十万坪
2007年07月01日

剣客商売 辻斬り (池波正太郎)

剣客商売シリーズの第2作である。少しずつ、登場人物が成長していく様が嬉しい。一話一話は40ページほどの短編なのだが、これが第7作まで続くとなるとこりゃ、一大長編小説だよな・・・。多分、これから読み続けることになると思う。とにかく、面白い。
池波正太郎というと「食い物」の描写が有名。第一作の最初から根深汁が出てくる。ネギの香が漂ってくるようである。第二作ではント行っても鴨鍋と鴨飯(「老虎」より)だろう。鴨は葱と一緒に焼き、酒をふくませた醤油に浸けて食べる。鴨飯は鴨の皮の出して飯を炊き、酒と醤油で味を付けた鴨肉の叩きを熱々のご飯に載せて食べるんだって。ネギトロ丼の鴨肉版なんだろうか、想像がつかないぞ。
鬼熊酒屋/辻斬り/老虎/悪い虫/三冬の乳房/妖怪・小雨坊/不二楼・蘭の間
2007年06月24日

号泣する準備はできていた (江國香織)

江國香織の直木賞受賞の短編集。期せずして室井佑月の「血い花」と2冊続けて似た感じの本。(もちろん、江國の本にはその手のどぎつい言葉は使われていないが。)
ごくごく普通のシチュエーション、それを丹念に、主人公の女性の視点(多くは一人称)で描いている。細かい描写も多く好感がもてるのだが・・・オチがないんですわ。うーん。
人間ドックの待ち時間で読んだというハンディはあるのかなと思ったが、逆にそういうときには丁度いい。なにしろ「次はどうなる?」っていうワクワク感がないので、いつ呼ばれても大丈夫だもんな。剣客商売を読んだ直後は不利だな。 2007年06月20日

血い花 (室井佑月)

室井佑月。ワイドショーのコメンテータとして、小気味の良い発言をしてるチャーミングなおねぇさんのイメージ。ところが、この短編集はびっくり。いわゆるfour-letter wordがそこら中に出てくる。文書のテンポがよくて、さっさと読み進めるけど、で? っていう感じ。おいらは、もういいな。
2007年06月18日

剣客商売 (池波正太郎)

池波正太郎の剣客シリーズの第1作。主人公・秋山小兵衛、その息子・大治郎、男装の女剣士・佐々木三冬、この3人の剣の達人を中心に、小兵衛の40歳年下の妻・おはる、岡っ引き・弥七、はては田沼意次まで・・・。ちょい役まで、どの登場人物もその様子が目に浮かぶのである。特に説明がある訳じゃないが、ちょっとしたセリフ、立ち居振る舞いで、ああ、ああいう感じかと。
7つの短編が綴られている。それぞれは独立しているが、主人公達が、だんだんと成長していく様が楽しい。 何よりも、小兵衛が強い、冷静(息子が狙われているのを知ったときに、冷静さを失うのだが、これが可愛い(笑))、でもって、60歳なのに若い。もめ事をささっと解決する小気味よさ。小さなどんでん返しがあるのもワクワク。
シリーズは7冊あるそうだから、これは読まずばなるまいて・・・。
女武芸者/剣の誓約/芸者変転/井関道場・四天王/雨の鈴鹿川/まゆ墨の金ちゃん/御老中毒殺
2007年06月16日

デカいオンナ (オオタスセリ)

女芸人、オオタスセリさんのエッセイである。サイン本なのだ。わはは。あっという間に読めてしまった。同い年の彼女。思考も嗜好も志向も似ている気がする。文章はとっても上手。室井滋のエッセイと似てるんだけど、こっちの方が100倍くらい読みやすいのは何故?
2007年06月11日

紫のアリス (柴田よしき)

やられた・・・である。ちょろい、ちょろいと読んでいたら、あっと言うどんでん返し。そうか、そうだったのか・・・と思うと、最後の5ページくらいにさらに大どんでん返し。
すごい、凄すぎる。途中、登場人物がやたらと多くて、しかも、訳の判らない場面が多いのだが、これ、全部が伏線なのである。読み終わってから、もう一度読み返したくなる作品である。この本は、一気に読まないと面白さが判らないと思う。
2007年06月08日

堪忍箱 (宮部みゆき)

「初ものがたり」以来、半年振りの宮部みゆきの時代短編小説である。主人公はちょいと貧しい江戸の庶民。かつかつながらも、正しく生きている筈の彼らも、心の中には秘密を持っている。それが意外なことばかり。「このお話はいったいどうなる?」「オチはどうやってつけるの?」と、息もつかずに読み進んでしまう。落語じゃないから、オチなんていらないんだろうけど、読んでるうちに、人情噺に思えてしまうのである。 どの話も100%のハッピーエンドではないところが、ちょいと気になる短編集である。
2007年06月01日

奮戦! リストラ三銃士 (かんべむさし)

かんべむさしは初読。もとはSF作家らしいが・・・。
リストラされた3人の男女。年齢も経歴も全く違うこの3人が、再就職活動をする中、不思議な縁で出会い、協力しながらそれぞれの得意分野を活かして起業する物語。企業小説でもないし、コメディでもないし・・・。とにかく、テンポ良く、トントン拍子に話しが進むし、登場人物が少なく、3人のキャラが際だっているので、あっという間に読み終えてしまった。さわやかな読後感。悪い人が出てこないのもいいな。
実際にはあり得ない話だけどね。23歳の男の子の後から、後からわき出てくるビジネスのアイデアは「そりゃないだろ。」とツッコミつつも、ひょっとして・・・と思わせるもの。かんべのプロフィール、作家になる前は広告代理店に勤めていたそうな。なるほど。
2007年05月28日

シャーロック・ホームズの息子 (ブライアン・フリーマントル)

小学校のとき、文集の「尊敬する人」の欄に「シャーロック・ホームズ」と書いた。それくらい、ホームズにはまっていた。小学生のくせに、難しい文庫本で殆どの作品を読破したのである。
そんなおいらも、ホームズに息子がいたなんて知らなかった。そりゃそうだ、コナン・ドイルも知らなかったに違いない。
ときは第一次大戦前夜、英独の緊張が高まる中、アメリカにある親独秘密結社の存在を暴け、という極秘ミッションがチャーチル(当時・海軍大臣)から、シャーロックホームズの兄・マイクロフトに持ちかけられる。そのミッションは歳を取ったホームズに代わり、ホームズの『隠し子』である、セバスチャンに託されることとなった。イギリス、フランス、ドイツで大学教育を受けていたセバスチャンは、投資家との触れ込みで、アメリカに渡る・・・。
船の中の楽しげなパーティ風景、やたらと登場人物が多くてなかなか読み進めない。こんな人物や伏線は必要なのか・・・。文庫本で上限2巻の最後40ページばかりのスピード感、どんでん返しは息もつかせないが、それまでが長いよぉ。ホームズは、うん、それらしく描かれていた。2作目もあるそうなので、邦訳が楽しみ。
2007年05月26日

王妃マリー・アントワネット (遠藤周作)

遠藤周作を読んだのって初めてかなぁ。コーヒーのCMで狐狸庵先生のイメージが強いしなぁ。
先日、帝劇でマリー・アントワネットを観たのがキッカケで、その原作を読んでみたくなったのである。舞台は多少はしょっていたようだけど、読みながら、ああ、ここをこう変えたか・・・ってな感じ。文字を読んで、それが映像で想像できるのっては、楽しいな。
あまりフランス革命のことを知らなかったことに改めて驚く。30年近く前の孝行の世界史が最後だもんな。世界史のK先生は中世西洋史が専門だったので、かなり詳しかったはずだけど・・・。
2007年05月06日

トウガラシの文化誌 (アマール・ナージ)

ジャンルとしてはノンフィクションなんだろうか? インド人のジャーナリストがとにかく唐辛子について、品種、原産、薬効、スコビル・・・と取材していく。タバスコの物語が興味深い。
にしても、前半は、知らない地名、知らない品種が次々出てきて、何やら壮大なパロディを読んでいるみたい。
で、辛い物好きとしては「してやったり」なのだが、これ、どこまでが本当なのか・・・って心配になる。
2007年04月20日

たそがれ清兵衛 (藤沢周平)

たそがれ、うらなり、ごますり、ど忘れ、だんまり、かが泣き(おおげさに苦しがる)、日和見、ほいと(物乞い)・・・。
どれも人間の行動、風貌としては余り誉められたものではない。表題作の清兵衛さんは、ある事情から「定時退庁」するので同輩から「たそがれ清兵衛」とあだ名されているのだ。他の主人公も皆、その行動、風貌から不明よなあだ名をつけられている。
ところが、うだつの上がらない彼ら、実は剣の使い手なのである。藩の密命を受けて悪役の暗殺に一役買ったりするのである。「特命係長 只野仁」そっくりである。各短編、読後がスッキリする。
2007年01月30日

ぬばたま (藤堂志津子)

不倫ものである。33歳OLの綾子は妻子ある年の離れた男性と不倫状況。彼との関係を居心地の良いものと思っているくせに、自分の枠をはずそうとしない。とっても自分勝手な感じ。男が可哀想・・・と妙な感情移入。
そこに10年前に綾子を手ひどく捨てた男との再会。何のかんの言ってよりを戻してしまう綾子。バカ野郎!!!と読み進む内に、想像できない大どんでん返しと、とどめの小どんでん返し。ざまぁみろ。
自分が、とってもイヤな男に思えるが、読後感は悪くない一冊。
2007年01月10日

2006年  27冊

初ものがたり (宮部みゆき)

江戸を舞台にした謎解き。岡っ引きの茂七が軽妙に謎を解く。それぞれのお話の「謎」は上手にひねられていて、どんどん読み進んでしまう。その舞台が江戸なのを忘れてしまいそう。宮部みゆき、守備範囲が広いぞ。お薦めの一冊・・・と言いたいところだが、稲荷寿司屋台の親父の正体が最後まで分からずフラストレーションはたまるぞ。
2006年12月30日

岩伍覚え書 (宮尾登美子)

高知の女流作家、宮尾登美子。櫂、寒椿、鬼龍院花子の生涯、蔵など作品名は知っているが、読んだのは初めて。娼妓紹介業の岩伍が語る、その世界のできごと。岩伍本人の一人称でかかれ、息を付く暇もなく、かなり疲れる小説ではあるが、ストーリーにはぐいぐい引きつけられ、また、凄惨な場面を描いていても、言葉がキレイなのでイヤな感じがしない。ただ、30年前に書かれた作品のため、かなり差別的な表現があり、どこぞの国の人が見つけたら、教科書問題どころではない大騒ぎになりそう・・・。
2006年12月23日

モーツアルト荘 (三浦哲郎)

これまた、初見の作家。名前だけは知っている・・・っていう人。 おいら、もともとペンションってスキじゃない。脱サラしたオーナーなる主人の趣味で固められた宿、いろいろなお約束があって、自由にできない居心地の悪さ。そんな、おいらのペンション像そのままの、ペンションが舞台。
主人公は脱サラのオーナー(笑)。ペンションの日常の中での小事件を丹念に描いている。ペンションも、オーナーも、奥さんも、客も、みんな目に浮かぶようである。30〜50ページくらいのエピソードが6つ。どれも、どんどん読み進む。なるほど・・・、やられた・・・のオチが待っている。
寝る前に読むのはいつものことだが、朝起きても読んだ。とにかく、面白い。たった6話。読み終わるのが残念だった。いつまでも読んでいたい一冊。
2006年12月13日

天保悪党伝 (藤沢周平)

先日読んだ岸本葉子さんの書評につられて、初めての藤沢周平。悪名高い河内山宗俊と、彼に絡む直侍、金子市、森田屋、くらやみの丑松、三千歳の5人のお話。「天保六歌撰」として有名な話をもとに、独自の?お話に仕立てている。小気味よく話が進んでいく。ファンが多いのも肯ける。
2006年12月10日

峠 (北原亞以子)

サブタイトルが「慶次郎縁側日記」とある。森口慶次郎という元定町廻りの事件簿・・・だと思ったらさにあらず。書名にもなっている中編の他、短編が7作。中人は、彼は最後に出てきて、それこそ縁側でことの顛末を人から聞いているだけ・・・というものもある。とにかく、解決しないお話が多い。期待はずれ。
表題作「峠」は、やたらと登場人物が多く、また、なりすまし、といったややこしい設定もあって、とっても読みにくかった。
2006年12月05日

本がなくても生きてはいける (岸本葉子)

岸本葉子さんは、中学の一年後輩。「中学生なのに美人」で聡明な女性だった。彼女の著作は、雑誌などの連載を除けば、彼女が学生時代に上梓した最初の一冊『クリスタルはきらいよ』しか読んだことがなかった。(著者のサインを貰ったんだけどなぁ。実家にあるかな?)
さて、今回の本は、いろいろな本を紹介しつつのエッセイである。もともと「恋もいいけど本も好き」っていうタイトルで出た単行本を改題して文庫にしたもの。「生きては」の「は」がポイント。要は、もの凄く本が好きなんですな。一項目3,4ページのエッセイ集なのだが、言葉が洗練されていて、読むにつけ、彼女の上品な顔立ちを想い出す、そんな読後感。
この本は借りて読む本ではなく、手元に置き、ここに挙げられた本を一冊ずつ読んでいく道しるべにすべきだな。
2006年11月25日

学問ノススメ(自立編) (清水義範)

長編青春小説と謳っている。主人公淳一は二浪の予備校生。彼の1年間を綴っている。実は3部作の3作目。「挫折編」「奮闘編」が、現役、一浪と落ち続けるのだそうな。本来は、順番に読むべきなのであろうが、たまたま古本屋で手にしたので仕方がない。でも、三作目だけでも十分楽しめる。
清水義範。ハズレはないですな。面白かった。淳一を取り巻く人たちがいいヤツばかりで、ホッとする感じ。自分の受験の時って、何をしていたかなぁ? なんてことを考えながら読んでた。
受験生を持つ親御さんに読んで貰いたい一冊。
2006年11月18日

嫌われ松子の一生 (山田宗樹)

映画、TVドラマで話題のお話。番組宣伝で「墜ちていく女性の物語」というイメージがあり、「そんなの何が面白いんだ」と敬遠してた。が、そこまで人気なのは何故か・・・と気になって読んだ。いや、脱帽、面白い。次はどうなる、次はどうなる、と読み進んでしまう。上下二巻があっという間。
映画、ドラマでどうなってるのか知らないが、松子の甥が松子の生涯を探す、っていう設定にぐんぐん引き込まれる。一緒になって探している自分に気付く。
松子の不幸は、松子自身の判断ミスからくるもので、全く共感できない。「全て、お前が悪いんじゃぁ・・・」と読み進んだのだが、最後の裁判所の場面、うかつにも地下鉄の中で涙してしまった・・・。
いろいろな場面、知らない世界(塀の中、覚醒剤の幻覚、特殊浴場の実情等)が緻密に描写されているのも興味深い。お奨めの一冊、いや二冊。
2006年11月14日

むかつくぜ! (室井 滋)

あの室井滋の15年前のエッセー集。一話は3〜6ページで、簡単に読めちゃう。どれも実話のようだ。「嘘だろぉ」とも思うし、「でも、室井ならなぁ」とも思う。文章も無駄なくテンポがよいので、あっという間に読めるのだが、読み終わると、特に何も残らない。時間つぶしにはいいのだが・・・。
2006年11月08日

姥うかれ (田辺聖子)

同じ「聖子」が、田辺にも松田にもマッチするのだから、不思議。
田辺聖子といえば、以前よく読んでいた週刊誌に連載していた。軽妙洒脱な文章が印象的だった。朝の連ドラの原作者とのことで手にした一冊。
「姥ざかり」、「姥ときめき」と続く、連絡短編集の第3弾。主人公は78歳の独り暮らし山本歌子。3人の息子との微妙な関係、の嫁との果てしないバトル。老人仲間(?)とのいろいろなやりとり。とにかく、この歳で人生を楽しんでいるのが、読んでいてもウキウキしてくる丁度、とーちゃん、かーちゃんと同世代なのだが、こんな感じで楽しく暮らしてくれるといいな。
「姥うかれ」にも7作あるが、どれも最後に軽いオチがあって、それが楽しみ。読むべき本。
2006年11月04日

忍者からす (柴田錬三郎)

一休禅師、塚原ト伝、由比正雪、幡随院長兵衛、蜀山人、国定忠治・・・。
時代も違えば、その伝説も違う人々。実は彼らがみな、熊野権現の神鴉(みからす)と呼ばれる忍者一族の縁のものである、という大胆な設定で、それぞれのエピソードが紡がれていく。どこぞの高校の必修漏れじゃないけど、日本史を勉強しておけば、もっと面白かったろうな。
序章は、その初代「忍者からす」誕生の経緯が記されているのだが、まさか、こんな物語になっているとは知らず「また、はずれか?」と思ってしまった。
初めての柴錬、堪能の一冊。
2006年10月31日

スパイク (松尾由美)

「長編恋愛ミステリー」と銘打っている。スパイクとは主人公・緑(28歳独身)の飼うビーグル。一人称で語られるこのお話、いかにも恋愛小説まっしぐら・・・という出だしなのだが、40ページほどで大きく方向転換。
一体、何が何やら。誰もが一度は夢想したことがある(ないか??)パラレルワールドものなのだが、いろいろなところに小さな伏線があり、何度も遡って読み返してしまった。ハッピーエンドを期待したが、大ハッピーではなく、プロローグでも判る小ハッピーといったところ。(いや、そんなプロローグも忘れてしまっていたので、ああ、良かったになるのだが。) 大−小=「スパイク」。ああ、そういう訳だったのか。ひさびさの佳作。
2006年10月22日

お嬢さん探偵 ハルミ危機一髪 (青柳友子)

タイトル通りである。22歳の主人公が大学時代・卒業後に「真面目に」私立探偵をやってて、その事件ファイルである。事件そのものは、それほどつまらなくはないのだが、主人公の言動があまりにもステレオタイプで、見ていてイヤになっちゃう。
結局は婚約者が事件を解決しているのだ・・・。6話まであったが5話まで読んで返却してしまった。ひょっとして、最後の最後で「自分は探偵に向いていない」ってことに気付いたのかもしれない。
2006年10月15日 17時27分42秒

ジョーカー (藤堂志津子)

主人公の女性・万穂子の19歳、27歳、32歳のできごとを綴る。父の愛人と父の関係の清算、自分の恋人と実の姉の恋愛の後押し、会社の上司との秘密の関係、父の愛人の子(つまり、弟みたいな存在)との暮らし・・・。家族が軸になっているのだが、居場所のなさを常に感じる主人公。3つのエピソードでは結局周りの人が何かを成すにあたってのキッカケになってしまう。タイトルのジョーカーは道化師ではなく「切り札」という意味に使われている。
不思議な感覚で、どんどん読み進むことができるが、ところどころで「イラっ」としてしまう・・・。
2006年10月09日

草にすわる (白石一文)

これまた初めての作家さん。デビューは2000年なのだが、おいらよりも2つ年上。遅いっすよね・・・。
3つのお話。表題作「草にすわる」は、何ともイライラする作品。「砂の城」は文壇内幕モノと思って読んでいたが、思いの外、ラストが良かった。最後の「花束」はデビュー前(文藝春秋の編集者だったらしい)に別名で書いた作品。新聞記者モノなのだが、これがいちばんテンポがあって、読み応えがあった。
で、びっくりなのは3作品とも全く傾向(文体)が違うってこと。その点が面白かった。
2006年10月05日

ノスタルジア (小池真里子)

主人公は46歳の独身女性・繭子。22歳からの9年間、父の友人である妻子ある作家雅之と不倫関係にあった。作家の死後、孤閨を守ってきた繭子に、雅之の息子である俊之から手紙がある。「父の想い出を語って欲しい。」
繭子と同い年の俊之は、逢ってみると父親によく似た風貌と仕草を持つ、青年のような男だった。繭子は俊之に好意を持つ。食事をし、小旅行をしながら、想い出を語るうちに、その思いは恋愛感情になっていった。
細かな描写が心地よい、ほっこりした作品。ちょうど自分も46歳になったタイミングだったので、感情移入できたのかもしれな。ここでは書かないが、実は大どんでん返しがある。
2006年10月01日

取り扱い注意 (佐藤正午)

これまた聞いたこともない作家の小説。
主人公はモテてモテて困る男。彼が不思議な魅力を持つ叔父と強盗を働くストーリー。
時間と空間が入り乱れ、物語に関係あるのかないのか判らないエピソードがたくさんあり。インド映画の合間にチョコマカ読んでいたおいらにも責任があるのかも知れないが、最初から最後までイライラしっぱなし。
小道具としてスクラブルが出てくる。主人公は英語のイディオムやことわざを直訳したしゃべりかた(「犬とネコが降ってくる」みたいな)を好むという設定は悪くないのだが、それがメインストーリーに全くつながらない。
ハッキリ言ってつまらない。2冊続けてハズレ。
2006年09月20日

暗鬼 (乃南アサ)

これまた、名前は知っていたが読むのは初めての作家である。あの坂東眞砂子の前に直木賞を受賞したらしい。誕生日が丁度ひと月違い。
おどろおどろしいタイトルに反して、とにかく幸せ一杯花一杯のお話で始まる。見合い話がとんとん拍子に決まって、山梨から武蔵小金井のコメ屋に嫁いできた女性の物語。嫁ぎ先はひいばあちゃんまでいる大家族。みんな仲良しで、嫁姑問題なんてどこにもない。一体、どこが「暗鬼」なんだ?
ある出来事から、この女性、家族が信じられなくなる。まさに、疑心暗鬼である。これまでは心地よかった家族の言動、その一挙手一投足全てが、まがまがしいものに思えてくる。
いけませんねぇ・・・と読み進むと、本当に悪い奴らだった。じゃあ、どうするか。身を委ねてしまうのがいちばん楽なのである。主人公もその道を選び、さらに親友まで巻き込むところで話は終わる。うーん、一体何が書きたかったのだろう>この小説
とにかく、後味の悪さのみ残る小説。図書館でタダで借りたから腹もたたないが、絶対に人には薦めない。
2006年09月15日

まんぞく まんぞく (池波正太郎)

池波正太郎の歴史小説。初めて読んだ。20年ほど前に週刊新潮に半年間連載された小説だそうな。連載ものは毎週毎週ヤマがくるので、いいテンポで読める。
江戸時代、田沼意次の頃のお話。とは言っても、政治ものではなく、男装の女剣士の敵討ちと恋の物語。等々力、碑文谷、目黒不動から始まり、深川、本所と、身近な地名が出てくるが、江戸時代の人はかくもまあ、長い距離を日常に歩いて移動していたのだな・・・と感心する。身体が丈夫なこともあるけど時間がゆったり流れていたんだろうな。分刻みの描写などないし。
主人公の真琴が吹石一恵を彷彿されるのは大河ドラマの印象が強いからだろうか。
2006年09月09日

残響 (柴田よしき)

初めて読む作家である。設定が面白い。ジャズ歌手の主人公は、いろいろな事件の現場の過去の音を聞くことができるのだ。現に生きている人の声や物音も聞こえるから霊媒というわけでもなく、まるで残響時間が彼女にとってはものすごく長いのと同じところから付けられたタイトルであろう。
迷宮入りした殺人事件の真相を知る、という点では推理小説っぽいのだが、彼女がこの不思議な能力を持つに至った背景に絡んで彼女の心理描写が細かくなされているし、それぞれの事件にどんでん返しがあるので、この能力の面白さだけのしょうせつではない。
人間の屑のように描かれていたある人物が、最後の最後で「いい人」になっちゃうのが、救われる気がする。一読の価値あり。
2006年09月06日

城をとる話 (司馬遼太郎)

司馬遼太郎を読むのは初めてかも知れない。今NHKでやってる「功名が辻」も司馬の作品だとのこと。
この話は、関ヶ原の合戦直前の戦国末期、伊達家と上杉家の攻防の中で、伊達側が建設中の城を、上杉方に加勢した浪人がたったひとりで落としに向かう。今で言えば「ミッションインポッシブル」。何故か人に空かれるこの浪人、桃太郎よろしく、銭が好きな侍、山賊、堺の商人、巫女を従えて、勇躍、目指す城へ向かう。
さすが、巨匠の筆である。次へ、次へと読み進める。新聞の連載小説であったこともその理由か。ただ、ミッションインポッシブルが最後にはミッション成功なのに、この男は・・・。良い本なのだが、ストレスがたまる結末である。
2006年09月02日

赤い絨毯 (清水一行)

タイトルどおり、政界内幕もの。55年体制当時の社会党の内紛を描いたサスペンス。ところどころ「ああ、この人は・・・」と思わせる登場人物があり、現実の事件と重ね合わせることができる。当時はストーリーにかなり無理があったと思うが、その後、55年体制の崩壊が現実のものになったのだから、先見の明がある作品。新聞記者の動きとか議員秘書の動きなど、普段メディアに載らない部分が、そこそこ正確に描かれている。政治好きならお奨め。
2006年08月29日

佐賀のがばいばあちゃん (島田洋七)

「B&B」ってどれくらいの人が判るんだろう。MANZAIブームで一世を風靡した「もみじ饅頭!!」って言う方のエッセイ。
「がばい」ってのは「すごい」っていう佐賀弁だそうだ。広島出身の筆者が小学校2年から中学卒業まで預けられた佐賀の祖母との日々を綴ったもの。
同じ文庫本でも行数で2割、字数で1割少ない。0.8×0.9=0.72。つまり4分の3以下、あっという間に読めてしまう。
「あの洋七」の本だと侮ってはいけない。これは電車の中で読んじゃだめ。ウフフ、って微笑みながら読んでると、随所にウルウルくるポイントあり。ばあちゃん、センセイ、友達・・・・。ネタバレになるので敢えて書かない。是非、読むべし。
2006年08月24日

天狗の落とし文 (筒井康隆)

何と言えばいいのか、エッセイのようでもあり、アフォリズムのようでもあり、戯れ文のようでもあり。とにかく、思いついたことをいろいろ書いてあるのだ。あ、じゃ、この日記と一緒か(笑)
一項目が短ければ2,3行、長くても2ページ(文庫本です)程度。どんどん読み進む。イチローよりはちょっと低いくらいの打率で「ガハハ」ってのがあるから、電車の中で読むのは大変だった。「いろは歌留多」が秀逸。実は、おいらも20年ほど前に遊びで作って、かなりなものと自負しているのだが、やはりプロの作は毒もあり一味違うものである。「命短し襷に長し」「老婆は一日にして成らず」「墓は死ななきゃ入れない」・・・。隠密日記お読みの読者にはお勧めの一冊。
2006年08月16日

サイレント・ナイト (高野裕美子)

長編推理小説。もともとミステリー小説の翻訳をしていた作者のデビュー作だそうな。きわめて良く出来ている。伏線がそこここに(タイトルにまで)あるので、注意して(笑)読む必要があり。途中で分かった気になるのだが、最後にどんでん返しがあり(いや、後から思えば気づくべきだったのであるが・・・)、さらに、残り12秒で・・・。
ネタばれになるので、簡単に書くと、「新規参入した格安航空会社の社長。彼の周辺に起こった様々な事件が、ひとりのベテラン刑事の執念の捜査でひとつの糸に・・・」うーん、こんな書き方では凡庸な作品に見えてしまうではないか。
一気に読めてしまう秀作である。(映像にもなりやすそうだが・・・)
2006年08月16日

密閉集団  (清水一行)

ピンクのヘルメット集団は、女を弄ぶ浮気男を槍玉にあげ勤務先の企業を襲撃、多額の慰謝料をせしめる。40代後半の方なら「中ピ連」ってのを想い出すだろう。 
中ピ連(小説のなかでは「女性連」)の活動と、独裁的な代表者のメディアに出ないドロドロした部分を淡々と書いた小説。ノンフィクションのようであるが、未解決の殺人事件なんてのも出てくるから、「実在の団体とは関係ない」ってことなんだろうが。仮に不正確なノンフィクションだとしても、中ピ連代表だった榎美沙子は行方不明らしいので、抗議もこないか・・・。
ラストは、事実に近いのだが、もう少しスッキリしてほしかった。
2006年08月06日

女たちの会津戦争 (星 亮一)

会津戊辰戦争で、辛酸をなめた女性達の記録である。先に書いたとおり、ぴな家のご先祖さま関係の記述があるので購入。
女性達には大きく分けて、「自害」「籠城」「逃亡」の選択肢があった。正確には選択の余地もなく、それぞれの道をたどった者たちが多かった。第一章は「自害」組の記録である。延々と凄惨な場面が綴られている。筆者は「このような結果を招いた会津藩の決断の間違え」を度々指摘しているが、もう少し掘り下げてくれるとよかったのだが。
小説ではないので、ひたすら事実が羅列してある。最終章、若松賤子をもって、会津の魂を云々する部分はやや強引か。
2006年07月30日

2005年  0冊?


2004年  19冊

わしゃHが大好きなんじゃ! (びっくり爺)

何ともこっ恥ずかしいタイトルだが、書店ではコンピュータ関係の棚に置かれている。著者は伝説的なハッカー(っていうか、ネット探偵)。爺さんが好きな「H」とは「ハッキング」のことだった。その手口を余すとこなく紹介・・・となると、何やら怪しい本になってしまうけど、前半は迷惑メールを手玉に取る様子のドキュメント。後半は、この10年近く、日本のインターネット草創期に爺さんと仲間達の様々なイタズラを紹介。
ネットの知識がないおいらに100%は理解できないけど、それでも面白かった。一気に読み終わった。 何で、ハリポタの最中にこんな本を読んだかと言うと、爺さんとおいらは長年の友人なのだ。こっちの世界ではこんな有名人だったとは(笑)
【爺さんのブログページ】 http://jii3.no-blog.jp/hacker/
2004年12月25日

発言者たち (清水義範)

名古屋出身の作家である。彼の書いた「蕎麦ときしめん」は、数ある名古屋本(なごやぼん。名古屋とはどういうところであるか、ってのを書いた本。名古屋の書店には多数並んでいる。)の原典(原点)となっている。
今回のこの本は、あるノンフィクション作家が、世の「発言したい人」、例えば、出版社に投書する人、テレビ局に抗議の電話をする人、作家に感想文を送りつける人、「自分通信」を発行する人などと出会い、一体彼らが何故発言したがるのだろうか・・・ってのを探る中で、「モノ書きって?」と悟っていく物語である。
今から13,4年前に書かれた小説だ。当時は成立した題材なんだろうけど、今のように個人のHPを持つ人がこれだけ増えてしまうと、そんな疑問を持つこと自体ナンセンスに思える。この作者の本で、初めてツマラナイと思って読んだ一冊となった。
2004年10月01日

長い長い殺人 (宮部みゆき)

いくつかの殺人事件を、関係者の「財布」が証言していく形で綴られる。ところどころ、事件の本質に関係のない人物が思わせぶりに出てきてドキドキする。久しぶりにこの手の推理小説を読んだ。最後チョイ前の謎解きにはやられた。視点が変わるので、一気に読むにはきつかった。もともと、月刊誌に一話読み切りの形で掲載している話だから仕方がない。まあ、面白かった。
2006年07月22日

管理職降格 (高杉良)

お馴染みの企業内幕モノ。舞台が銀座のデパートと西鎌倉の高級住宅街。出てくる地名や実在の企業名をもじった企業が出てくるので、光景が目に浮かんだ。
主人公はデパート法人外商部の課長。多分、おいらと同年代の設定。こいつがだらしなくて、公私ともにボロボロ。自分は正しくて、周りが悪くて・・・とお話が進むのだが、どうにも共感できない。お前、もう少しやりようがあるだろう・・・。最後の最後、娘が全てを救ってくれそうな予感をさせるエンディング。
2006年07月22日

道路の決着 (猪瀬直樹)

ご存じ、民営化推進委員会委員の猪瀬さんが、内幕をプレイヤーの実名入りで綴ったというか記録本。新聞には書いていない、というよりも、新聞報道そのものの批判も満載。ごくごく近くで見ていたけど、水面下ではこんなことがあったのね・・・と一気に読み進めた。ここまで、いろんな人を実名で切っちゃっていいのかなと、少々心配にもなる。公団民営化は「政治部→経済部→社会部」と担当が替わっていったってのは、判りやすい説明だった。
2006年07月22日

岩倉使節団という冒険 (泉三郎)

文春新書。この泉さんは、おいらのとーちゃんのいとこである。まあ、おじさんみたいなもの。この30年近く、岩倉使節団を研究している。岩倉使節団とは明治四年、欧米の政治、産業、文化諸々を視察するために岩倉具視、大久保利通、伊藤博文らが630日かけて地球一周したきた「巨大な合宿研修旅行」である。
本書はその間、彼らが何を見、何を感じたかを詳細に検証するとともに、帰国後の激動の時代に見聞が如何に影響したかを記している。興味深いのは、急進的開花論者であった伊藤博文が、派遣を経て、漸進派に変わったところである。
並の洋行帰りなら、西洋かぶれになるところであるが、彼は、逆に改革は一朝一夕にはならないことを知るのである。今、職場の改革を進めるおいらとしては感ずるところ大である。
2004年09月09日

ベトナム戦争 (松岡完)

中公新書。「誤算と誤解の戦場」というサブタイトルがついている。ベトナム戦争の背景、経緯、評価が書かれた本。ベトナム旅行を決めて、すぐに買ったのだけど、少しずつ読んでいるうちに結局今になって読了。(ホントは、行きの成田&機中で読破出来るはずだったんだけどねぇ。)
しかし、この本、通常の歴史書と違う。第6章まであるのだが、各章が違う視点からベトナム戦争を論じているので、第1章だけ読んでも、ひと通りのことは判るのである。(これが、1章から6章まで順番に歴史を綴っている本だと、第1章だけじゃ、まだ第2次大戦すら終わってないかも知れない。) それにしても、ベトナムってのは大国の思惑に翻弄された国だし、ケネディってのも必ずしも英雄ではないのですねぇ。
# ホーチミンが何故敬愛されているのかは、よく判った。
2004年09月03日

ベトナムに行こう (勝谷誠彦)

そのまんまのタイトルの本。何人かがベトナムの町を歩いた紀行文。普通の紀行文と違うのは、文中で訪れた店の名前、住所が脚注の形で記されていて、巻末の地図で三唱できるのだ。だから、読む部分の多い旅行ガイドとも言える。
思うに、紀行文と旅行ガイドの差ってのは、主観的情報と客観的情報の比率じゃないかな。その意味で、旅行ガイドなのに主観的情報の比率が高いのが「地球の歩き方」である。あれに騙されるとひどい目に遭うのである。分かってはいるのだが、今回の旅で持ち歩くことにしたのは重さのコストパフォーマンスから「地球の歩き方ポケット」っつうやつです。
2004年08月14日

田島みるくのXin Chao ベトナム (田島みるく)

Xin Chao(シン チャオ)とはベトナム語でこんにちはの意味らしい。漫画家の田島みるくが絵と写真と文でつづるベトナム旅行記。ベトナムの生の雰囲気を知るのには絶好の一冊。
にしても、こんな本ばかり読んでないで早く準備を始めろよ>ぢぶん
2004年08月11日

「分かりやすい表現」の技術 (藤沢康治)

ハリーポッターもベトナムの本も読まなきゃならないのに・・、とご心配の向き。この本を読み終わったのは3週間ほど前である。とにかく、看板、チラシ、広告等様々なメディアから「分かりにくい表現」の実例を持ってきて、それに手を加えてみせている。本文なんて読まなくても、その実例を読むだけで勉強になると思う。(というよりも、本文を読まずに、使用前・使用後を見比べて、どの点が改善されているのかを見つけていく方が、タメになるかも知れない。)
一応、分かりにくい表現16のカテゴリーと、それに陥らない16のツールが書いてあるのだが、これ自体は分かりにくい。何かを書くとき16ものチェックポイントを思い浮かべることなど出来ないもん。要は「伝えたいことは何、伝えたい相手は誰」ってことだけを常に意識しておけばいいのだと思う。
それはさておき、様々な場面で表現をすることのある方は一度手にとってみるべき本多と思う。(上記のような読み方なら立ち読みでこと足りるかも知れない。)
ちなみに、同じ著者の分かりやすい文章についての本もあるようだが、チラっと見た感じでは、本書ほどは役に立たないようである。
2004年08月05日

ベトナム縦断鉄道 途中下車の旅 (下川裕治)

ベトナム下調べ第一弾。例によって、泥縄ではあるが、旅行前に訪問国のことを知るのだ。(普通とは手順が逆だとは思うが・・・)
細長いベトナムを縦断する統一鉄道の沿線の都市を多くの写真で紹介する本。今回の私の訪問地はホーチミンだけなのだが、まずは国の雰囲気を・・・。感想は、混沌、混在。でも、美味そう(笑)
2004年08月03日

血液をサラサラにする健康法 (石原結實)

ニンジンジュース断食道場の主宰者である。この先生、全然知らなかったけど、昼の「思いっきりテレビ」に出ているそうな。ニンジンジュース断食が気になったので図書館で借りて読みました。要は、身体は冷やしてはいけない、老廃物はどんどん出さなければならない、ということらしい。当たり前と言えば当たり前のこと。
さすがに10日間も断食道場にこもれない(正月休みのゲレンデをあきらめれば別だが)私に朗報。178センチ80キロの代議士に先生がしたアドバイス。朝はニンジンジュース2杯(ニンジン2本+りんご1個分)、昼は蕎麦。夜は普段通り。これを実行した件の議員さん、1年間で10キロの減量に成功したそうな。
2004年08月03日

修羅の器 (澤田ふじ子)

信長、秀吉に翻弄された常滑の城主の生涯を、彼と(極めて薄く)関わる女性二人の目を通して描いた歴史物。名古屋に3年いて知らなかったが、常滑は、信長によって「禁窯令」を出されたそうな。
作者の澤田さんは、おいらのご先祖様も小説にして下さった方。史実を丹念に紡ぎつつ、歴史の教科書とは違う世界を醸し出している。
2004年07月29日

社命 (清水一行)

企業小説である。KDD事件を題材にして、丹念に時系列を追っている小説であり、そこそこ面白く読み進んだのだが、作者は致命的なミスをした。KDD事件はご存じの通り、ブランド品の密輸に端を発しているのであるが、その摘発に動いたのを「大蔵省主税局−国税庁」ラインとしているのである。大きな誤りは「税関の担当は主税局ではなく関税局である」こと、小さな誤りは「主税局と国税庁は仲が悪く、そんな連携は当時あり得なかった」ことである。丹念に取材しているようで、こんなミスをされては興ざめである。所詮「小説」ではあっても、極めてノンフィクションに近いのに、それまでの記述(時代背景等)の信憑性がゼロになってしまった・・・。
# それまで読み進んできた自分が情けない。
2004年07月22日

ありふれた不倫だったのに (山崎洋子)

長編サスペンス小説と銘打っている。二組の不倫と殺人事件(?)が絡み合ったハラハラドキドキもの。たまたま、昨晩夜中に目が覚めてしまい、読み始めたら面白すぎ。展開が読めなくて、一気に読み進めてしまい「これじゃいかん。」と最後の1章を残して眠りについたという代物。おかげで今日は寝不足。途中で、「え?」っていう仕掛けもあるし、最後の謎解きもまずまず。読み進む中で誰に感情移入しているかによって「あー、面白かった。」となるか、「何だよ、この結末・・・。」になるかが大きく別れる小説。
# おいらは、「ほらね。」っていう感じかな。面白かった。
2004年07月13日

マタニティ&ブルー (和田はつ子)

知らない名前だったが、「お入学」というドラマの原作になった本を書いた人らしい。子育て系、ハーブ・アロマテラピー系の作品の他ホラーものも多い。表題作はホラー。悪魔系である。妙に説明調の部分と、「え? 何で?」っていう部分があって、全体としてはアンバランスな、ハッキリ言ってつまらない本だった。「暇つぶしに読んだのに時間の無駄」という珍しい本。
2004年07月11日

裏金 (清水一行)

清水一行の企業小説である。昨晩は咳が止まらなくて、明け方まで眠れなかった。灯りを消して大人しく横になっていればいいものを、読み始めたら止まらなくなってしまったのがこの本。
実は大したストーリーじゃない。ゼネコンで裏金を管理していた部長が、バレそうになったから身を隠すというもの。この身の隠し方が、家が大森、職場が新宿という設定で、何故か渋谷駅前のビジネスホテル。頭、悪すぎ。しかも毎朝、ホテルの部屋で起きては「ワイシャツに着替えてネクタイを締めている」っていう抜けない習慣で企業戦士(というか会社人間)を描こうとしているのだから稚拙。この作家、多作だが当たりはずれがありそう。
2004年07月08日

派閥渦紋 (清水一行)

江國の前に読み終わったのがこの本。一連の企業小説もボチボチ読んでいる。所詮小説は小説だと思うけど、「なるほど、そういう世界なのか。」と思いながら読むと興味深いモノである。このお話は、とってもイヤな主人公が出てきて、全く感情移入できないまま、最後は(多分)全てを失う・・・という筋書きで、読み終わって初めてスッキリするという不思議な小説だった。
2004年07月07日

落下する夕方 (江國香織)

久しぶりの電車通勤も早1年。行きの車内はもっぱら朝刊を読んでるのだが、帰りは何かしら本を読んでいる。ここ数ヶ月は近所の図書館から借りた文庫本の小説を乱読。これまで手を出さなかったジャンルが多い。
で、今日読み終わったのが「落下する夕方」(江國香織)
何となく、情熱・冷静と似た感じの雰囲気の小説であった。イライラしながらもどんどん読み進んでしまった。この本については、解説を読んでびっくり。映画化されたときの主人公・梨果(映画ではリカ)は何と「わたスキ」の原田知世が演じたそうな。いやぁ、想像できない。
# 不思議ちゃん・華子が菅野美穂ってのは分かる気がする。
2004年07月07日
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